嶋田です。
NIKKEI NETで「
専門医を紹介する「総合科」新設」やら「
在宅医療の報酬上げ」やら2008年度の医療改革で行われるであろう記事が目立つようになってきました。
2006年度医療改革での看護師配分なども再考されるでしょうし、なんだかなぁと思ってしまいます。病院経営、診療所経営の先生方はさぞや大変なことと思います。
よくコメントをいただいているDr.CFP先生に教えられて読んだ「東洋経済4/28・5/5合併号」でニッポンの医者・病院・診療所という特集がありますので、興味があればお読みください。
先の記事でパイロットより医者の方が規制が少ないということを書きましたが、病院経営、診療所経営者にとっては診療報酬の改定は最も大きな規制かもしれません。
そういう煩わしいものをあまり見ないで済むのは勤務医、もっと言えばフリーランス医師かもしれませんね。
また話がフリーランスになっていますが、僕自身やはり興味があるのでしょうね。離職率の高い女性医師がフリーの温床になっているように思われていますが、実際はアナウンサーと同じく、経験を積んだ専門医こそフリーランスについて考えてもいいのではないでしょうか?
設備あるいは研究費などの部分で折り合いがつかなければ話になりませんが、検討の余地はあると個人的には思います。
また給与面においては間違いなく現時点ではフリーランスの方が高給取りです。それが専門性のない医師だとしても。
実際を簡単にシュミレーションしてみます。
フリーランスは多くの場合、時給換算になります。医師の時給は標準的なところで日勤帯時給1万円程度でしょう。9-17時を週5回勤務すると8万円x5日x4週x12ヶ月(48週計算=1ヶ月遊べるかも)=1920万円です。土日に時々当直などするだけで軽く年収2000万円は超えてきます。
さらに時給1万円というのはあくまで目安であって、僕の経験では時給1.5~2万はそれ程難しいものではありません。これには事務長との折り合い、専門性の有無、さらに複数の病院での勤務を主体としてひとつの病院での年収を下げるということが、心理的に時給を上げられる可能性を高くします。(データはありませんが事務長の心理に働くことでしょう。経営者・事務方は支払い総額を気にしますから)
複数の病院勤務は常勤確保というフリーランス側にあるリスクを同時に分散することにもなります。
つまり、それなり働く気があり事務長・院長などとうまく交渉する能力あるいは専門性さえあれば、雇われ医師でも年収3000~4000万円は可能でしょう。
何が言いたいのか。
ヤリガイが主な理由でない場合、開業するリスクは雇われフリーランスのリスクよりも高い可能性があるということです。さらにフリーランスには初期投資が無い分、資産運用にも効率的に働くでしょう。
うーん、奥が深いかもしれません。フリーランス。
代わって、看護師はどうか?
まず看護師自身が売り相場であることを理解していないことが多いようです。さらに専門性も微妙で、個人で交渉する習慣が看護師には無いようです。経営者側も看護師に年功序列以外の差をあまり見出せないのかもしれません。
今後、看護・介護などにおける東南アジアからの人材輸入が本格化していくであろう中、看護師もプロフェッショナルを自覚しこの医療改革によってもたらされた幸運の「売り相場」を生かしてもらいたいですね。って無理か。。
自分で交渉はちょっと、という場合はエージェントを雇いましょう。概ね契約年収の20%程度をマージンとしてもっていきます。
医師なら
民間医局 by メディカルプリンシプル、看護師なら
ナース人材バンクあるいは
カンゴジョブ、介護士なら
カイゴジョブあっ、CAについても書かなきゃ。それについてはまた今度、では。
関連記事;
医者とパイロット、ナースとCA(1)(2007/04/24記事)
フリーター医師(1) (2) (3) (4)フリーランス医師の年金(2007/02/09記事)
勤務医・開業・フリーそして・・・(2007/03/23記事)
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ちなみに、私の伴侶は、
Dr.フリーランスです。(^^)
嶋田さんの書いておられるように、週に4回午前中だけ外来をするだけで、大学勤務の若い先生と同じ程度の収入があります。実際にはもう少しバイトをしていますから、もっとありますが。
主たる勤務先が週に16時間ですから、今回のパート労働者の厚生年金加入にもひっかからないことでしょう。
別スレでは書きませんでしたが、副収入があると、税金だけでなく、上限はありますが国保などの社会保険料もあがります。
自治体によって違うようですが上限が月に5万円ほどです。(上限の年収基準は低いですし、所得割だけでなく、世帯割、人数割、資産割というのも合算されます)
通常のフリーランスの場合これは結構大きな額ですが、医師など専門職の場合、職域国保がありますので、地域の医師会に入ると、医師国保に入れます。
通常、医師会費+医師国保を足しても市町村国保よりも掛け金ははるかに安いですし、高額な医療費を払った場合の手厚い付加金の支払いもあり、国保と違って医療費に心配など全然いらないと言っても過言じゃないほど優遇されています。これも、医師国保の財政状況がいいからですが。
嶋田さんも、念願の? Dr.フリーランスになったら医師国保を検討してみるといいですよ。
>> Dr.CFP先生
いつも貴重なコメントありがとうございます。
医師国保については自治体で大きな差はありますが、普通の国保よりも概ね安価で保障も充実していますね。
フリーランスを懇願しているわけではありませんが、当ブログには多くの方が「フリーランス医師」や「フリーター医師」でヒットしていただいているだけに重要なネタとも考えております。
幸い、僕の周りには数名のフリーランス実践医師も存在しますので記事としては書きやすいものでもあります。
医師国保については別記事で書かせていただきます。
また、そのときは御教授いただければと存じます。
追伸、奥様がフリーランス医師とは素晴らしい。稼ぎが多く扶養家族にはならないでしょうし、その辺の裏技などもお聞かせ願いたいところです(笑)。
初めましてちょっとよろしいでしょうか?医師の時給換算で1万円になるのは開業医だけでしょう。
勤務医は保険診療点数の兼ね合い上一般医で1000万円から1500万円、診療科部長で2000万円以下の病院が殆どです。拘束時間も長く、長時間のオペ・夜間当直・緊急での呼び出しも含めれば週80時間労働も常態化しています。
そうです、知っての通り勤務医の給与実態は年俸制になっており時間外での労働は給与に組み込まれています。
1500万円で週80時間の労働条件の場合、時給に換算すると約2800円程度が現状の待遇なのではないでしょうか?
>> R七半命さん、はじめまして。
コメントありがとうございます。仰るとおり通常の勤務医では時給1万円は不可能です。
今回の記事に関してはアルバイト勤務医についての時給を示させていただきました。
誤解を招いてしまったようで申し訳ありません。
今後ともよろしくお願いいたします。
いつも拝見させていただいております。
私もフリーランス医師に片足つっこんでいます。
時給15000円でやってます。
面白いもので、1ヶ所その時給で契約すると、
他の職場も合わせてくるんですね。
一般の勤務医の先生が聞くと、はぁっ?って思われるかもしれないですが、医師の給与格差は確実に存在していると思います。
ただし、医師としてのヤリガイやステイタスは別のところにあると思いますので、最前線で時給2800円で働いている先生のことは尊敬しています。
こんにちは。
地方の大学に勤務しています。
時給1万円以上とは驚きですが、情報が広がると
「市場はそこそこ効率的」ということを考えると(笑)
いずれ勤務医との時給の差は縮まってくると思います。
上の先生は、そういう美味しいことは黙っていたほうが
良いですよ(^^;
>知っての通り勤務医の給与実態は年俸制になっており時間外での労働は給与に組み込まれています。
そんな病院もあるでしょうね。
管理職でない医師の場合は、時間外は通常限度はあるもののある程度は、請求可能な病院が多いと思いますが。
ただ、部長など管理職になってしまうと、管理職という実態とは違いますが管理職手当が付くからという名目で、時間外は請求出来ないというところは多いようです。
あ、もちろん、私は働いた分は請求させて頂いています。
>一般の勤務医の先生が聞くと、はぁっ?って思われるかもしれないですが、医師の給与格差は確実に存在していると思います。
そうですね。
所詮、需要と供給の関係ですから、今はどこも医師不足ですから、病院もベット数に応じた医師の定員を充足しないといけないですし。保険点数などと秤にかけて臨時職員の給料は決まるでしょうからね。
>今後、看護・介護などにおける東南アジアからの人材輸入が本格化していくであろう
ところで、これはどうでしょうか?
しきりにニュースでは宣伝していますが、先日もテレビの特番でやってましたが、現実問題としてフィリピンなどの看護師・介護士からは日本は全然人気無いみたいですね。また、日本の介護士は介護保険の報酬が下げられたために給料が少なく、特に男性では3交代などで仕事がきついにもまして、将来、結婚して家族を養えるだけの収入が期待出来ないという理由で転職者が多いようですが、それを補充するために、
海外にその分をと期待しているようですが、不法滞在者対策なのか、日本語ができることというのは仕方ないとして、大学卒業レベルの学歴だとか、来日後数年内に日本で資格が取れないと本国に強制送還だとか。他国では、数年働けば永住権がもらえるという国もあるというのに。日本への希望者はほとんどいないとのことでした。
フィリピンは、海外に看護師など多量に派遣しているので、自国は不足しているそうです。それでも、派遣するのは外貨を稼いで、本国の家族に仕送りするためであり、日本のように劣悪な環境で、都会だと一人が生活するのがやっとの給料でどれほどの仕送りができるのか。その為の受験資格のハードルが諸外国に比べて高い。まだまだ医療界の人材不足は続くと思います。
そういえば、世界でこのフィリピンとアメリカだけが属人課税主義だそうですね。
>> かとまん先生、コメントありがとうございます。
>面白いもので、1ヶ所その時給で契約すると、他の職場も合わせてくるんですね。
人の心理というものでしょうか?複数施設契約の妙味ですね。
>> インデックス先生、はじめまして
医師のアルバイト市場は昔とあまり変わっていないように思いますね。勤務医の労働環境整備が進み、多少労働時間を減らす方向に改善され、時給自体は良くなるかもしれませんね(笑)。
>> Dr.CFP先生
東南アジアからの人材輸入に関しては、先生の仰るとおり僕の「煽り」です(汗)。すみません。。
日本政府は非常に高いハードルを用意し、積極的とは曲りなりとも言えませんね。
ただ将来的は頼らざるを得ない状況までくれば、政府も門をもう少し開くことでしょう。アメリカ・カナダなどのように全開にすることはあるはずもありませんが。。
移民という問題は日本の将来的に重要な課題でしょうね。
御指摘ありがとうございました。
インデックスさん
>「市場はそこそこ効率的」ということを考えると(笑)いずれ勤務医との時給の差は縮まってくると思います。
それはないと思います。
ちなみに、公立病院の勤務医の給料は、人事院勧告に基づいて決定されている部分が大きいようなので、昨今地方公務員などは、以前の大企業の平均給与参照から、大企業と中小企業をあわせたものの平均を参照したものを用いて算出するようになったみたいで、自然と下がるようになったようです。
市場が効率的だったら同じ価格になるのは、本来価値が同じが一時的に違う市場で価格差が起きた場合に、それが容易に調達できるものであれば裁定取引により価格差が無くなる場合です。臨時の医師の場合、常勤で雇いたくても需要ばかり多くて供給が追いつかない状態ですから、需給が改善されない限りは、臨時医師のプレミアが下がることはないですよ。
そういえば、最近オレンジが高騰しているそうです。
理由は原油の高騰で、それに対してアルコール燃料をつくためにオレンジ畑を、高額で売れるアルコール燃料が取れる作物に転作しているために、オレンジ出荷が減り需給が逼迫しているからだそうです。
トラックバックありがとうございました。
日垣隆さんがおっしゃているように、フリーになる人が少ないから、フリーになるメリットが大きいという需給のアンバランスが継続する限り、価格差は縮まらないのでしょうね。
その原因の一つは、フリーになるリスクが必要以上に高く見積もられていることなのでしょう。
興味深い話題です。
>> Dr.CFP先生
コメントありがとうございます。僕も農作物を含めコモディティには注目ています。
>> PALCOMさん、米国暮らしはどうですか?
>フリーになるリスクが必要以上に高く見積もられていることなのでしょう。
そうですね。僕の周りでも何か別にやりたいことがある方のみが有意義なフリーランス生活を送っていますね。
その方たちは皆、あまりリスクなど意識していないようです。
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